山下達郎のギターサウンドを再現したかった

達郎さんのギターサウンドに憧れて

どうも皆さま、こんにちは。

この度ブログを開設し、初めて書く記事のテーマが「山下達郎のギターサウンドについて」です。ちょっとマニアックすぎますかね?

でもいいんです。書きたいことを自由に書く、それがブログの醍醐味ですよね。

ということで早速、本題に。

今回、私は憧れの山下達郎さんが奏でるギターサウンドを再現すべく、達郎さんのギターサウンドのスペクトル分析から始まり、次に自分の楽器で録音、そして最終的にそれを達郎サウンドに可能な限り近づけてみるということに挑戦してみました。音楽好きの方や山下達郎ファンはぜひ最後まで見ていってください。

 名曲「SPARKLE」のスペクトルを解析

まずは2012年にリリースされた山下達郎オールタイムベストアルバム「OPUSに収録されているSPARKLEをフリーの音声編集ソフト Audacity で読み込みます。

この曲を選んだ主な理由は

  • イントロはギター以外の音が鳴っていない
  • カッティングの名フレーズとして有名
  • 個人的に大好きな曲

といったところ。残念ながら著作権の関係でこの記事にはSPARKLEの音源をアップできませんが、音源を持ってない方はYouTubeで探すかCDを買って聞いてみてください。

それでは次に、取り込んだ音源をステレオからLチャンネルとRチャンネルの2トラックに分離し、Lチャンネルの一番最初の音を選択します(”ちゃーちゃららちゃっちゃっちゃっ”の頭の”ちゃー”の部分。ファンならわかってくれるよね?笑)。

 

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L-chの一部を選択

そして、Audacity解析タブにあるスペクトラム表示をクリック。すると以下のスペクトルが表示されました。

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SPARKLEイントロ部のスペクトル

どうですかこのスペクトル!普段、達郎さんは70年代に製造されたフェンダーテレキャスターを使用しており、この曲もそのギターが使われているんですが、このスペクトルを見るとLowからHiまで非常にバランスよく鳴ってるんだな~って思いますよね。

低音から中域にかけて非常に艶があり、ギラっとした倍音をたっぷりと含んでいながらも、全然耳にキンキンしない。本当に良いテレキャスの音ですよね。

もちろんアンプのセッティング等でこのあたりのバランスは変わってくるとは思いますが、基本的には達郎さんはギターそのものの音を大きくいじってはいないと思います。

よし、それじゃあ次は自分のギターでも同じことをやってみるぞ。

SPARKLEを弾いて録音する

 SPARKLEを録音するにあたって、使用した機材等を紹介しておきます。

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録音に使用したギター

以上、エフェクター等は一切使用せず、ギターからオーディオI/Fに直で録音する形になります。また、ギター本体のボリューム及びトーンは全開で、PUセレクターはセンターです。

そして、実際にこのセッティングでSPARKLEのイントロを弾いて録音してみました。Audacityの録音後の画面はこんな感じです。

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上:自分で録音した音  下:達郎さんの音(L-ch)

クリックは使用せず、達郎さんの音源を聞きながら弾いたわけでもないのでタイミングはズレまくってますが、このあたりは大目に見てください。

それよりも重要なのはどのような音が録れたかってことです。ということでこれが録音された音データです。

どうですか?

 

 

。。。

 

 

。。。

 

 

 

なんじゃこりゃあああ!!!!

プレイの下手さは置いといて、俺のテレキャスってこんなにモコモコしてたのか!?

PUセレクター、センターにしたよな!?

トーンも全開のはずだよな!?

(2018.12.11追記:なんとオーディオIFのHi-Zスイッチをオフのまま録音していたことが判明しました。おそらくモコモコの原因はこれです。後日、同様の実験をHi-Zをオンにしてやり直した記事はこちら

 

。。。

 

うーん、気をとりもどして、一度録音データから頭の”ちゃー”の部分のスペクトルを見てみようと思います。

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録音した音のスペクトル

なるほど、達郎さんのギターサウンドのスペクトルと比べると高音が全然出てないですね。これがモコモコした音の原因なのかもしれません。次はこれをいかにして爽やかな達郎サウンドに近づけていくかという作業です。

イコライジング

ということで、次はAudacityエフェクトタブにあるイコライゼーションをクリック。今回の実験で私は録音データに対する本格的な音加工はこのイコライジングのみとしています。憧れの達郎さんはエフェクター等にはほとんど頼っていないのに、自分だけ色々と弄るのは何か違うと考えたからです。

 

それでは、イコライジングをやってみます。

高音をブーストするということを頭に入れつつも、あくまで聴覚的に達郎サウンドに近くなるEQバランスを探していきます。

 

。。。

 

最終的に私のイコライジング設定は以下のようになりました。

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イコライジング設定

EQの設定だけ見ると、かなり高音をブーストしたことになりますが、これで実際の音データのスペクトルは以下のように変化しました。

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イコライジング後のギター・スペクトル

最初の無加工のスペクトルに比べると、低音から高音にかけて、全体的にバランスがよくなったかなと思います。

 

そして、これがイコライジング後の音データ。

 

少し低音を削りすぎた感はありますが、それでも最初よりは達郎サウンドに近づいた気がしないでもない。。。?

 

最後の一工夫

ここからはそんなに大した作業は残っていません。

まず、先ほど作ったイコライジング後のトラックと全く同じものを複製します。こうしてできた2つのトラックに対し、片方はL-chに全振り、もう片方はR-chに全振りします。

次に、どちらでもいいのでこれら2つのトラックのうち、片方の再生タイミングをほんの少しずらします。こうすることで、全く同じ音が左右で鳴っていても、不思議なことに音に広がりを感じるようになります。具体的にどれだけずらすかというのは色々手探りでいい感じのポイントを探すしかありません。

ちなみに、達郎さんは全く同じフレーズを2回弾き、それらを左右のChに配置しています。これが本来のダブリングという手法なんですが、今回、私は技術的な問題・時間的な問題により上記のインチキ手法を採用しております。

最後に、このようにしてできたインチキ・ダブリングトラック対し、適当にリバーブをかけておしまいです。

 

最終的に私のギターサウンドはこんな感じになりました。

 

どうでしょうか。なんとなくそれっぽくなったような、なってないような。。。

よし、もう一度本家のSPARKLEを聞いてみよう。

 

。。。

 

 

。。。

 

 

うん、俺の耳、腐ってんな。

 

結論

達郎さんのギターサウンドを再現するなんていう難題を、こんな感じのやっつけ仕事でやってしまいましたが、今回の実験で得られた結論としては

そして何より、やっぱりあの音は、達郎さんのブラウンのテレキャスじゃないと出ない!

最初から分かっていたことですが、達郎さんのテレキャスの音は本当に不思議です。達郎さん自身、あのテレとシリアルが近いものを何本か取り寄せたようですが、やっぱり同じ音はしなかったみたいです。

エレキギターって、大量生産されている割に音に個体差があって、そういうところも魅力の一つなんですよね。

 

ということで、今回の実験は失敗に終わりましたが、ここであきらめることなく、またいつか達郎サウンドの再現にチャレンジしてみたいと思います。

 

以上、ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。