山下達郎のギターサウンドを再現したかった(訂正版)
前回の反省を踏まえて
どうも皆さま、こんにちは。
先日、私は大好きな山下達郎のギターサウンドを再現すべく、こんな記事を書いてみたのですが、なんとその中で、ある致命的な失敗を犯していたことに気がつきました。それは、
オーディオインターフェースのHi-Zスイッチをオフのまま録音していた!
ってことです。
どうりで私のテレキャスおかしな音してるなあと思いましたよ。今まであんなにモコモコしてるって感じたことなかったですから。
昨日宅録を始めたってわけでもないのに、どうしてこういう企画をするときに限って普段絶対にしないミスをしてしまうんですかねぇ。
人間って、そういうものなんですかね。。。
ま、やってしまったことは仕方がないので、気を取り直してもう一度同じことをHi-Zスイッチオンでやってみようと思います。
実験の流れや機材の設定等は前回の記事の内容と同じです。
再録
まずは前回の実験でHi-ZスイッチをオフのままSPARKLEを録音した音をお聞きください。
どうですか?テレキャスとは思えないくらいモコモコしてますよね。
そして今回、Hi-Zスイッチをオンにして録音したものがこちら。
もうこの時点で全然違いますよね。また、今回はきちんと本家のBPMに合わせて弾いています。
スペクトル分析
次はスペクトル分析です。
まず、本家本元、達郎さんのSPARKLEのイントロ部に対してスペクトル分析をした結果がこちらです。
そして、こちらが今回新たに録音した私のギターのスペクトル。
達郎さんのギター・スペクトルと比較すると、低音と高音が出ていませんね。
ということで次はこのあたりのバランスを調整していきます。
イコライジング
前回同様、スペクトル分析の結果を踏まえつつも、聴覚的に達郎サウンドに近いと思うイコライジング設定を探していきます。
。。。
さて、今回のイコライジング設定はこんな感じになりました。
いわゆるドンシャリ設定ですね。
実際のギターサウンドはこんな感じになりました。
ちょっと1弦の音がキンキンしますね。なかなか、音抜けを良くしながらもいい感じに高音を絞れるポイントを見つけられませんでした。
ちなみにイコライジング後のスペクトルはこんな感じです。
まあ、多少バランスがよくなったかなってくらいですね。
ちなみに達郎サウンドのスペクトルだと中域から高音までもっとバランスよく出ているんですが、僕のギターサウンドに対してそれくらいを目標にイコライジングしても更に耳がキンキンするだけなんですよね。不思議です。
最後の一工夫
最後の一工夫も前回と全く同じです。
インチキ・ダブリングを行い、適当にリバーブかければこんな感じに。
うん、やっぱりあの達郎サウンドには程遠いですね。
ということで、Hi-Zスイッチをオンにしようがオフにしようが、あの達郎サウンドを再現するのは厳しようです。
悔しい!
山下達郎のギターサウンドを再現したかった
達郎さんのギターサウンドに憧れて
どうも皆さま、こんにちは。
この度ブログを開設し、初めて書く記事のテーマが「山下達郎のギターサウンドについて」です。ちょっとマニアックすぎますかね?
でもいいんです。書きたいことを自由に書く、それがブログの醍醐味ですよね。
ということで早速、本題に。
今回、私は憧れの山下達郎さんが奏でるギターサウンドを再現すべく、達郎さんのギターサウンドのスペクトル分析から始まり、次に自分の楽器で録音、そして最終的にそれを達郎サウンドに可能な限り近づけてみるということに挑戦してみました。音楽好きの方や山下達郎ファンはぜひ最後まで見ていってください。
名曲「SPARKLE」のスペクトルを解析
まずは2012年にリリースされた山下達郎のオールタイムベストアルバム「OPUS」に収録されているSPARKLEをフリーの音声編集ソフト Audacity で読み込みます。
この曲を選んだ主な理由は
- イントロはギター以外の音が鳴っていない
- カッティングの名フレーズとして有名
- 個人的に大好きな曲
といったところ。残念ながら著作権の関係でこの記事にはSPARKLEの音源をアップできませんが、音源を持ってない方はYouTubeで探すかCDを買って聞いてみてください。
それでは次に、取り込んだ音源をステレオからLチャンネルとRチャンネルの2トラックに分離し、Lチャンネルの一番最初の音を選択します(”ちゃーちゃららちゃっちゃっちゃっ”の頭の”ちゃー”の部分。ファンならわかってくれるよね?笑)。
そして、Audacityの解析タブにあるスペクトラム表示をクリック。すると以下のスペクトルが表示されました。
どうですかこのスペクトル!普段、達郎さんは70年代に製造されたフェンダーのテレキャスターを使用しており、この曲もそのギターが使われているんですが、このスペクトルを見るとLowからHiまで非常にバランスよく鳴ってるんだな~って思いますよね。
低音から中域にかけて非常に艶があり、ギラっとした倍音をたっぷりと含んでいながらも、全然耳にキンキンしない。本当に良いテレキャスの音ですよね。
もちろんアンプのセッティング等でこのあたりのバランスは変わってくるとは思いますが、基本的には達郎さんはギターそのものの音を大きくいじってはいないと思います。
よし、それじゃあ次は自分のギターでも同じことをやってみるぞ。
SPARKLEを弾いて録音する
SPARKLEを録音するにあたって、使用した機材等を紹介しておきます。
- ギター:フジゲン「Neo Classic NTL」
- オーディオI/F:Steinberg「UR-RT2」
- 録音ソフト:Audacity
以上、エフェクター等は一切使用せず、ギターからオーディオI/Fに直で録音する形になります。また、ギター本体のボリューム及びトーンは全開で、PUセレクターはセンターです。
そして、実際にこのセッティングでSPARKLEのイントロを弾いて録音してみました。Audacityの録音後の画面はこんな感じです。
クリックは使用せず、達郎さんの音源を聞きながら弾いたわけでもないのでタイミングはズレまくってますが、このあたりは大目に見てください。
それよりも重要なのはどのような音が録れたかってことです。ということでこれが録音された音データです。
どうですか?
。。。
。。。
なんじゃこりゃあああ!!!!
プレイの下手さは置いといて、俺のテレキャスってこんなにモコモコしてたのか!?
PUセレクター、センターにしたよな!?
トーンも全開のはずだよな!?
(2018.12.11追記:なんとオーディオIFのHi-Zスイッチをオフのまま録音していたことが判明しました。おそらくモコモコの原因はこれです。後日、同様の実験をHi-Zをオンにしてやり直した記事はこちら)
。。。
うーん、気をとりもどして、一度録音データから頭の”ちゃー”の部分のスペクトルを見てみようと思います。
なるほど、達郎さんのギターサウンドのスペクトルと比べると高音が全然出てないですね。これがモコモコした音の原因なのかもしれません。次はこれをいかにして爽やかな達郎サウンドに近づけていくかという作業です。
イコライジング
ということで、次はAudacityのエフェクトタブにあるイコライゼーションをクリック。今回の実験で私は録音データに対する本格的な音加工はこのイコライジングのみとしています。憧れの達郎さんはエフェクター等にはほとんど頼っていないのに、自分だけ色々と弄るのは何か違うと考えたからです。
それでは、イコライジングをやってみます。
高音をブーストするということを頭に入れつつも、あくまで聴覚的に達郎サウンドに近くなるEQバランスを探していきます。
。。。
最終的に私のイコライジング設定は以下のようになりました。
EQの設定だけ見ると、かなり高音をブーストしたことになりますが、これで実際の音データのスペクトルは以下のように変化しました。
最初の無加工のスペクトルに比べると、低音から高音にかけて、全体的にバランスがよくなったかなと思います。
そして、これがイコライジング後の音データ。
少し低音を削りすぎた感はありますが、それでも最初よりは達郎サウンドに近づいた気がしないでもない。。。?
最後の一工夫
ここからはそんなに大した作業は残っていません。
まず、先ほど作ったイコライジング後のトラックと全く同じものを複製します。こうしてできた2つのトラックに対し、片方はL-chに全振り、もう片方はR-chに全振りします。
次に、どちらでもいいのでこれら2つのトラックのうち、片方の再生タイミングをほんの少しずらします。こうすることで、全く同じ音が左右で鳴っていても、不思議なことに音に広がりを感じるようになります。具体的にどれだけずらすかというのは色々手探りでいい感じのポイントを探すしかありません。
ちなみに、達郎さんは全く同じフレーズを2回弾き、それらを左右のChに配置しています。これが本来のダブリングという手法なんですが、今回、私は技術的な問題・時間的な問題により上記のインチキ手法を採用しております。
最後に、このようにしてできたインチキ・ダブリングトラック対し、適当にリバーブをかけておしまいです。
最終的に私のギターサウンドはこんな感じになりました。
どうでしょうか。なんとなくそれっぽくなったような、なってないような。。。
よし、もう一度本家のSPARKLEを聞いてみよう。
。。。
。。。
うん、俺の耳、腐ってんな。
結論
達郎さんのギターサウンドを再現するなんていう難題を、こんな感じのやっつけ仕事でやってしまいましたが、今回の実験で得られた結論としては
そして何より、やっぱりあの音は、達郎さんのブラウンのテレキャスじゃないと出ない!
最初から分かっていたことですが、達郎さんのテレキャスの音は本当に不思議です。達郎さん自身、あのテレとシリアルが近いものを何本か取り寄せたようですが、やっぱり同じ音はしなかったみたいです。
エレキギターって、大量生産されている割に音に個体差があって、そういうところも魅力の一つなんですよね。
ということで、今回の実験は失敗に終わりましたが、ここであきらめることなく、またいつか達郎サウンドの再現にチャレンジしてみたいと思います。
以上、ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。